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脳の驚異 スペリー博士の発見(右脳と左脳)

脳の成り立ち

脳は,脳幹(中脳・間脳・延髄),小脳,大脳の3つで構成されています。同じ哺乳類の類人猿はもちろん,魚類や鳥類などとも同じです。ただ,その大きさが全く違います。
魚類,両生類,爬虫類では,生物としての本能的な行動(食べること,生殖行為)に関わる脳幹がほとんどを占めています。
鳥類・哺乳類は,大脳,特に新皮質と呼ばれるところが非常に発達します。ヒトの場合,新皮質が大脳皮質の90%以上を占めていて,ここが他の生物と圧倒的な違いをもたらしていると考えられます。

右脳と左脳 スペリー博士の発見

wholebrainヒトの脳はおおよそ1400gあります。外見的には,右と左の半球で構成されています。
1960年代の終わりごろ,のちにノーベル賞を受賞したカリフォルニア工科大学のロジャー・スペリー博士は,

右脳:リズム,空間認識,ゲシュタルト(全体性),創造力,空想,色,次元性
左脳:言葉,論理,数学,数列,直線性,分析,リスト

といった分野で優位性を示すという研究結果を発表しました。

左脳に分布する言語野

ひとつ例を紹介しましょう。
フランスの医者ブローカは,こちらの言葉は理解しているようだが,言葉を発するのに困難を伴っていた患者を診ていました。
その方は,何を聞いても「タンタン」とだけ返すので「タンタンさん」と呼ばれていました。その方の死後,脳を解剖すると左脳の前頭葉に病巣があるのが分かりました。そこから,この部分が,言葉を発するための作業を担当しているのだろうと考えられるようになりました。
こうした失語症の症例の研究を積み重ねることで,言語に関する脳の仕組みが色々分かってきています。
言語以外にも,脳のどこでどんな機能を担当しているのかということについての研究が進んでいます。

ただ,もし左脳の機能が全く失われても,右脳にそれをカバーする領域が現れるなど,完全に右脳と左脳は切り離されたものではないということも分かってきています。脳はまだまだ未知なる領域が多いようです。

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